上原ひろみ ~ VOICE2011年03月31日

上原ひろみ自身のアルバムがリリースされています。「VOICE」 THE TRIO PROJECT Featuring ANTHONY JACKSON and SIMON PHILLIPS。
良い!このライブは絶対に行きたいですねぇ!
実は上原ひろみのアルバムを購入したのは始めてです。東京JAZZのレギュラーみたいな存在なので、その演奏はチェックしていたのですが、今ひとつ琴線に触れるものが無かった。確かにその演奏力の凄さやコンポーザーとしての才能は高く評価されていますが、これまでの彼女の演奏、曲共に「うたごころ」が感じにくかったのです。
真っ先にイメージしたのが、チックコリアエレクトリックバンド時代のドラマーであるデイブ・ウェックル。あの当時の彼のドラミングは、ギミックプレイは凄かったのかもしれないけど音数が多くて歌っていなかった。これまでの上原ひろみにも同じ印象を持っていました。しかし、NHK BSで放映した番組で演った「Haze」という曲を聴いて「おぉ!これは・・・」と。何とも歌っているではないですか!この曲が聴きたくてこのCDを購入したも同然です。しかし、これだけでは無く全ての曲が上手い!

そして、バックは、ベースにアンソニー・ジャクソン!Yes!AJ!大好きなベーシストです。ドラマーが現TOTOのサイモン・フィリップス。サイモン・フィリップスを持ってくるあたりが何やら怪しい気配がしますよね!
そうです。このアルバムはストレートなJazzではありません。プログレです。むしろプログレッシブロックに近いかも!ちょっとやられました!上原ひろみ凄し!面白いアルバムです。

1曲目。「Voice」その名の通りタイトルナンバー。これにmoogあたりのアナログシンセが「ギュ~ン」と入って、ハモンドが入ったらELP(Emerson,Lake&Palmer)です!2曲目。しょっぱなのシャッフルビートは、ジェフ・ポーカロの音かと思わせる。なるほど、サイモンがTOTOに起用された意味がわかる演奏です。そして7曲目。「Haze」。80年代くらいのパットメセニーを思わせる旋律でありコードのテンションであり。こういった抑制の効いたメロディも書けるのが好印象ですね。その他の曲も捨て曲は無いですね。アンソニー・ジャクソンのベースが、やや突っ込み気味のサイモンのドラムを心地よいグルーブに導いてくれています。

何故ドラムがサイモン・フィリップスであったのか、通して何度か聴くとわかってきます。どうせならヴィニー・カリウタとかデイブ・ウェックルとかの方がスリリングなプレィが聴けるのでは?と最初は思っていましたが、このアルバムはプログレなのです!シングルストロークで手数王のサイモン・フィリップスの乾いたタムの音、ツインバス、オープンスタイルのロックなドラミングが合うんです!そ~なんです!

もちろん、上原ひろみの正確無比なスピードとパワフルなピアノは凄いです!同じような印象を受けるミシェル・カミロもスピードのある、ピアノは打楽器だ!と言わんばかりのピアノを弾きますが、彼はラテンなフレーズを前面に出しているのに対して、上原ひろみは洗練されたピアノです。それもあらゆるジャンルを身に着けているような懐の深さを感じます。ヘビメタも好きだとか・・・。更にリリカルなフレーズを聴かせるようになって・・・う~ん。凄い日本人ピアニストが成長してきています。
あぁ、もっと書きたい事があるけど誰もここまで読まないか・・・この辺でやめますが、それほどやられたアルバムです。お勧めします。
あぁ、グラミーとったスタンリー・クラークの方は聴いてません。スタンリー・クラークってとんと聴いてませんが、ジョージ・デュークと組んでアレンビックのベースをでっかい手でジャラジャラコード弾きしていた印象が強くて今ひとつ聴く気になれていないのが正直なところです。もう少ししたら聴いてみるかな?今はこのトリオでお腹いっぱいです!


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