紙切り師 林家二楽2008年02月03日

人前で話す仕事が多くなっていた時期でもあり、喋るということの参考になるかな?と、鈴本演芸場に何の気なしに行ったのが5年位前。以来、落語の面白さや奥深さに、ちょっとハマっています。
寄席に行くと落語の合間に曲独楽や大神楽などの「色物」と言われる芸を観ることができます。その中でも秀逸なのが、今回紹介する「紙切り芸」。
始めて鈴本でこの芸を観たのが、林家二楽(はやしや にらく)。ハサミ1本で切られる、その精細さや芸術性にすっかり魅了され、いつかは家族にも観せたい!という想いが募っておりました。そんな折、地元で行なわれる寄席に二楽が来る事を知り家族で出掛けました。二楽の芸では客に注文を取り、その場で紙を切るということをやります。慣れていないとなかなか声は出せませんし、どんな注文をすれば良いのかもよく分からない。まぁ、注文するには場数は必要かと思います。例えば「花火」「人力車」というようなお題を叫ぶ!「ミッキーマウス」でもなんでもアリ。だけど、客も気の利いたフレーズを叫びたいところ。それに応えて二楽も粋な解釈で形にするところも見ものです。

で、今回、始めて注文に応えていただき、ついでに沢山のB面もいただいちゃったので、細かい部分まで紹介します。二楽さんにはブログアップさせていただく承諾を得ています。>二楽さんありがとうございます!
あぁ、A面とB面と呼ばれているものがあります。切り抜いた方がA面。切り抜かれた残骸?がB面。どちらもその良さがありますね。

では早速。お題は「祭り」のA面。クリックすると大きな写真も見られます。これは、私が注文したもの。
「祭り」 林家二楽作 2008/1/29

左側の神輿の担ぎ手アップです。横顔のこの微妙な曲線。何とも・・凄い!
「祭り」 林家二楽作 2008/1/29

この祭りのB面。ウチの玄関にはこれを飾りました。
「祭り」 林家二楽作 2008/1/29

お次は、上の「祭り」を貰いに娘二人に行かせたところ、お土産にいっぱい貰ってしまったという嬉しいハプニングで手に入れてしまったB面。
お題は「朝青龍」のB面。右足のサッカーボールが、うまいぞ!二楽!
「朝青龍」 林家二楽作 2008/1/29

アップです。唇まで表現されています。目線や表情まで分かるようです。
「朝青龍」 林家二楽作 2008/1/29

さて、お次。「花魁(おいらん)道中」のB面。このバランス。たばこ盆を持つ「かむろ」や「かさ持ち」の目線まで分かります。遠くに見える街並みは吉原なのでしょうか?ため息しか出ませんな。凄いです。
「花魁道中」 林家二楽作 2008/1/29

この「花魁道中」の、花魁とかさ持ちのアップ。花魁の気高さが伝わる感じですな。
「花魁道中」 林家二楽作 2008/1/29

「かむろ」のアップ。将来の花魁候補生らしく凛とした感じが読み取れます。
「花魁道中」 林家二楽作 2008/1/29

いかがでしょう?シルエットでしかないのに、これだけの質感は非常に微妙な線の扱いと構図の素晴らしさからでしょうか?
高座では体を揺らしながら、客を笑わせながらこれだけのものを切ってしまうその「技」の裏にはどれだけの稽古の積み重ねがあるのか想像もできません。
まさにホンモノを見た思いです。
皆さんも寄席に足を運んでみて下さい。何も敷居なんて高くないです。落語含め、非常に質の高い古典芸能に触れることができますよ!

林家二楽のホームページ

カスタムギター ネック合わせ2008年02月10日

大脇さん削ってます! 待ちに待ったネック合わせの日です。雪降る2月9日に行って来ました。ヤイリギターへ。
事務所の扉を開けると矢入社長がお客さんとお話し中。
私:「すみませ~ん。」
社長:「ハイ。どうも!」っていつもの社長スマイル。
私:「ネック合わせに来たんですが・・・。」
社長:「あ~そう!じゃ中入っちゃって。」って工場の方を指さして。
私:「は~い!」
入っちゃってって言われても、勝手を知ってないとわからんよな~。でも社長元気よな~などと思いながら、勝手を知っている私は、迷わずネック専門の大脇さんのもとへ。
まだまだ大脇さん削ってます! 「この雪やし、来れるんかな~って思っとんたんよ。だって、ほら、ここから来たんでしょ。」ってオーダーシートの私の住所を指差しながら・・。そうです、N700系と在来線に乗って4時間30分かけて栃木から来たんです!

んじゃ早速ということで、我愛機となるギターとご対面!当然のことながらネック付いてるじゃぁないですか!ヘッドも!バインディングもパーフリングも、バッチリじゃないですか!一通り確認した私を見た大脇さん。「ほらここの指板のライン、ヒールサイドのメイプル、サイドのポジション。入ってなかったもんで昨日急いで入れたんよ。」言わなきゃ分からないのに言ってくれるのは良いことなのかどうなのか・・・。仕様書に細かく図入りで書いておいたから気付いたものの、そうでなかったら抜けてたかも知れません。この辺もヤイリらしさかな?やっぱ、実際行って確認することは必要です。特に今回私のカスタムは、小池さんのBy Kenとは違うのでラインでの製作。複数の人が係わっているので抜けてしまうことがあるらしいが、ちょっと心配ですな。実は、そんな噂もチラホラ聞くのでポイントのところは足を運んできたんです。正直言うと。

ヒール削ってます! 気を取り直して、ネック合わせです。1ピースネックなので、太い角材から荒削りしておいたとのこと。早速握りましたが、まだまだ太い。指標となるギターを2階の試奏ルーム?から持ってきて、この位の薄さで・・・と。ヤイリ標準のネックシェイプはVシェイプで、ハイポジションに行くにつれ「かまぼこ型」になっています。私はローポジションから「かまぼこ型」にしたかったので、その旨伝え何度か削っては確認し、好みの形状にしてもらいました。薄さは2005年製のサンプル機位まで薄くしたかったのですが、ここまでやると反りが出るというので、それより1mm厚くしました。ローポジションで21~22mmの間位です。まぁこれでも結構薄いですが。
ここで私の反省は、初回の丹羽さんとの打ち合わせで、強度が増す理由から三角ボリュートを迷わず付けましたが、良く考えたら、これでいきなりローポジションから「かまぼこ型」は酷ですよね。でもそこは大脇さんに謝りつつ、COLLINGSのOMのようにボリュートの裾を削ってもらって、全体を「かまぼこ型」にしてもらいました。別に大脇さんは文句一つ言わずにニコニコ対応してくれましたが・・・。大体30分位で終了です。それにしても、特大の三角ボリュートだなぁ。

大脇さんありがとう! 削ってもらいながら大脇さんといろいろお話しして(いや邪魔しちゃ悪いと思っておとなしくしていたんですが大脇さんから話しかけてくれて・・・)、道具を見せて触らせていただいて・・・。柄はハカランダで全て手製だそうで、ナイフは4年位使っていると。でももう刃が殆ど無くなりつつあると。カンナも一番細い刃を使っていると。これは、マホガニーの目の方向に合わせて削るためとのこと。(マホガニーって目の方向が交互になっているようです)ナイフの刃を触りましたが、非常に立たせてました。カッターナイフのように切れるそうです。これで、マホを削るんですから、粘りのある鋼でないと刃がすぐボロボロになることでしょう。

大脇さんからも「YD88」でこのように作るのは始めてですよ。と言われまして、「何でこの形にしたの?」と聴かれ・・・・。かくかくしかじかとお話ししました。これの内容は完成したレポートの時にでも書きます。
このネックのマホガニーですが、目が一方方向になっているそうで、「昔は結構あったんですけどね。最近では珍しい良い材ですよ。真っ直ぐな目だしね。」とのこと。ネック削りの専門家からのお墨付きをいただけて嬉しいじゃぁないですか。
まだ、いろいろお話ししたのですが、次回以降書きますね。

削っている動画を載せておきます。何れもMPEG1です。
左側が削り出し前半(約3.1MB)。ヒール部分をガッツリ削っているのが分かります。右側が後半のボリュートからの「かまぼこ型」への整形(約4.2MB)。
mpeg1 約3.1MB mpeg1 約4.2MB


現状の写真も載せておきます。ヘッドプレートのバーズアイメイプルの杢が凄いです。分かってらっしゃる!って感じの材を選んでもらえました。塗装されるともっと立体感が出るかな?
バックのマホガニーは、特有のリボン杢がフラッシュで良く見えます。綺麗です。
指板のエボニーは、真っ黒ないわゆる「マグロ」ってやつですね。ブリッジも真っ黒でお願いしてますがどうなるかな?
指板 マグロです バック マホ単です ヘッド バリバリバーズアイです


次回は納品されたレポートを予定してます。

アナログ盤のデジタル化2008年02月16日

懐かしのLP盤 実家にLP盤が数十枚置いてあるのですが、久しぶりにL.CoryellとS.Khanの「TWO FOR THE ROAD」が聴きたいなぁ~とぼんやり考えておりました。いわゆるステレオのセットはもう廃棄物同然となっているので使えません。ターンテーブル買ってもアンプが要るだろうし、まぁ、我慢するか・・・と考えつつも、ネットで調べていると、あら!フォノアンプ内臓されているのが結構お手頃で売ってるじゃないですか!

衝動買いです。「audio-technica AT-PL30 レコードプレーヤー」 amazonで買っちゃいました。約\6.5k。安いですよ。
audio-technica AT-PL30 で、使えますよ!これ。十分な音質です。昔の高級機と比べたら確かに上の伸びがもう少し欲しいとか、細かいこと言い出したらキリがありませんが、もう、そんなマニアックなオーディオ機器で聴くようなこともありません。ミニコンポやPCで聴くのが関の山。十分です。

LP盤の中にはもう、CDでは手に入りにくいものもあるので「捨てなくて良かった」と痛感です。
20年以上も触れていなかったLP盤ですから、カビだらけかな?と恐る恐る開けましたが、いや~綺麗なままです。ちょっと汚れているのはサーっと水拭きすれば大丈夫でした。

CubaseLE 取り込みは、PCでデジタル化です。E-muのボード経由でCubaseLEにてサンプリングです。なかなか良い音で復活です。Steely Danの「aja」でCDリリース盤と聴き比べましたが、L/Rの分離がCDはよりはっきりしてますし、音の輪郭もCD盤の方がくっきりですね。「なるほど、CDを始めて聴いた時はこんな感動があったんだろうなぁ。」と感じました。でも何回か繰り返し聴き比べると、LPからの方が生っぽい感じに聴こえますね。「aja」は、CD盤の元もアナログのマスターなのでしょうから、それほど音の変化は無いだろうと思っていましたが、特にタムの定位が寄り過ぎでヘッドホンで聴いていると不快な感じですね。LP盤はそんなことも無く、ナチュラルな定位と音。良いかも知れませんよLP盤!いや~何か楽しくなってきましたよ!

カスタムギター ネック加工の技2008年02月23日

2月9日にヤイリギターへネック合わせに行った際、「お~なるほどぉ!」という技を施してもらいましたので、そのご紹介。
指板のバインディングの加工なのですが、下の写真のように、14フレットよりローフレット側(赤枠)がR加工されているのがわかりますでしょうか?ハイフレット側は、まだ加工されていないので、角ばった部分が分かると思います(黄色枠)。※クリックいただくと更に大きな画面で見られます。
指板バインディング加工

バインディングはカーリーメイプルですので、このような加工をせずとも、セルよりは柔らかい手触りですが、このようにRが付けられたことで更に手に馴染む感じになり、握りやすくもなっています。

非常に単純な加工ですが、これも長年のノウハウからの「技」です。加工いただいた大脇さん曰く「この加工はハイグレードのモデルと、フルカスタムでこうやってネック合わせに来てもらった時に加工するか聞いて、「やる」という時位しかやっていないんですよ。握りやすくなったでしょう!」と。実際驚いたのですが、ものすごく握りやすくなりました。ペーパーでシャーシャーと何回か往復させただけの加工ですが魔法のようでしたねぇ。
確かに角材よりは、丸棒の方が角が無い分握りやすい。その理屈ですね。
この後14フレット以降もR加工していただきました。完成まであと1ヶ月。楽しみですなぁ。
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