Bernard Purdie2007年07月05日

このカテゴリの最初は、Bernard Purdie (バーナード・パーディー)。このおっさんにはやられました。1R10秒でKOです。プロ・アマ問わず、この人を目標にするドラマーが多いのもわかります。
何にやられたか?もちろん「パーディーシャッフル」ですね。STEELY DAN の 「Gaucho」 にある「Babylon Sisters」を始めて聴いたときは衝撃でしたねぇ。 Gaucho ハイハットの3連符の真ん中に聴き取れるかどうか位のスネアを入れるものです。非常に正確なタイムキープだけどレイドバックしている。スネアはとてもタイトなチューングでサスティンも短い。でも、こういう音でないと「パーディーシャッフル」は成立しないと思う。変にスネアが深い音でロングサスティンだったらモタって聴こえてしまうだろう。

更に注意して聞くと、裏拍子にこれまたppp(ピアニッシシモ)でハイハットオープンが入っていて、心地良いグルーブを生み出しているのがわかりますねぇ。 文字で現すのは非常に難しいので、是非聴いていただきたい。ドラム好きだったらきっと後悔しないと思う。

もちろん、シャッフルだけではないですよ。72年発売の 「Soul is」。 その名の通り、soulfulなアルバム。本人のヴォーカルも聴けます。 Soul is 「パーディーシャッフル」はないけど、「Song For Aretha」の後半のいや~パワフルなこと。ドラムが前面にフューチャーされているのは、ラストの「Heavy Soul Slinger」です。いいノリです。「Put It Where You Want It」はStuffがこんな8ビートやってますが、どうでしょう、タメの感じ、Steve Gadd と似てません?

パーディシャッフルも叩き方のコピーはできるのですが、この人の持つグルーヴ、とても真似できません。まさに、偉大なドラマーですね。

Pat Metheny2007年07月19日

Pat Metheny。今さら詳しい説明は必要ないでしょう。
この人の音楽はJazzがベースだけど、ジャンル分けしきれない多彩さがある音楽ですよね。私は、この20年この人の音楽を一番聴いている思うし、長期出張する際は何枚かCDを持っていくほど生活の中に入り込んでますね。(レンタカーでの移動時には必須です)
何よりの魅力は素直に聴けること。「この先のメロディーはこうあって欲しい」という欲求を満たしてくれるし、それを超える展開を聴かせてくれる。難しいJazz理論は良く分からないが、効果的な転調や変拍子が高揚感を与えてくれるし、気持ちイイ楽曲であることは間違いない。Pat Metheny Groupの楽曲はLyle Maysとの合作が多い。この二人での楽曲は特に美しい曲が多い。

トラヴェルズ Pat Methenyとの最初の出会いはライブ盤である 「トラヴェルズ」 GR303の音が衝撃的でしたねぇ。このアルバムは非常に良い録音なので必聴です。ES-175、Ovation1763のディープな音も、まさにPat Methenyの音。
今の使用機種はフルアコが Ibanez、ナイロン、スティール共 Linda Manzerを主に使用している。ES-175から 黒のIbanez PM-100に替えた時、その硬い音に閉口したけど、現在使用しているナチュラルのIbanezはES-175当時を彷彿させる音になっている。Speaking of Now ツアーをNHKホールで見た時にそれを実感しましたね。ナイロンも Linda Manzerを使うようになってから、ピエゾと内臓コンデンサーマイクとのミックスで、ライブでもナチュラルな音が再現できるようになったと感じている。これはDVDになっているのでチェックいただきたい。

彼(等)のアルバムで私のお勧めは、ファンの間では名盤と称される 「Still Life (Talking)」。 グループ名義ではないが、 「As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls」。 ソロ名義である 「Secret Story」。 参加ミュージシャンがすごい。
最近ではピアノのBrad Mehldau とのデュオである 「メセニー・メルドー」
いずれも癒される癒される・・・。
Still Life (Talking) As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls Secret Story メセニー・メルドー
Pilgrimage Michael Breckerの遺作となった 「Pilgrimage」 にPatも参加していて、かなり気合が入っているのが伺える。 参加しているミュージシャンがこれまたものすごい。「その時」が来る事を知っていての豪華メンバーなのだろうか・・・。残念なのは、このメンツでツアーはもう、100%できないということ。合掌。

もちろんこれだけではないので挙げきらない。

DVDでは、 「Speaking of Now live in Japan」 私の中では映像、録音共ベストではないかと思う。一瞬私が本当に小さく小さく映っているので思い入れもあるか・・・。そして、 「Secret Story Live」。 良くぞライブでここまで再現したなぁと思わせる。
面白いのがJoni Mitchell の 「Shadows and Light」。 若き日のPatとLyle、そして、動くJaco Pastoriusが見られる秀逸な作品。
Speaking of Now live in Japan Secret Story Live Shadows and Light

まぁ、あの横シマシャツのおっさんが私の生活をより豊かにしてくれているのは間違いない。

青山 純2007年07月21日

ドラムネタでは、私の場合「青山 純」は外せないですな。

最近こう言う人は少ないけど「重い」ドラムをはたく人だなぁ・・と高校時代に山下達郎やプリズムを聴いて、いつしかそのビートの虜になっていたのです。

最初はやっぱ、あのタムのチューニングでやられましたな。ズゥーンっていう胴鳴りっていうのかな、あの頃の録音のドラムはペコペコな音でしか録られていないイメージがあって、特にタムは・・・。 そこに来て青山純のサウンドは、ズゥーンときたもんだから、惹かれましたね。私もドラムのチューニングなるものに興味を持ち始めた時期でしたので、どのようにすればあのような音が出るのか研究してましたねぇ。 生でも何度か聴きましたが、スネアの抜けの良さはレコーディングの音では再現しきれていない体感でしたね。 シンバルも当時はPAISTEを使っていましたねぇ。特にRIDEの粒立ちのはっきりした音は大音量のバンドではとても効果的ですね。私もPAISTEのRIDEを常用しておりました。

For You ビートですが、腰のすわった安心して委ねられるビートですね。非常にシンプルなドラミングに聴こえますが、手数ではなく、アクセントの位置を意外な所に持ってきたりして、表情を出しているのが分かります。お勉強させていただきました。歌伴で多く演奏しているのはこの辺の評価でしょう。私がイチオシなのは、山下達郎の 「For You」 にある「SPARKLE」ですね。シングルハンドでの16ビートですが、グルーブはもちろんですが、ハイハットオープンをダウンビートに持ってきたりと、実際にやってみると、意外と不安定になる奏法をあのように正確にやられているのはさすがです。ベースの伊藤広規とのコンビが生み出す、図太いビートは達郎サウンドには不可欠なものですよね。

Ivory 歌もののスローな曲で、安心して歌に集中できるドラマーは(これ重要な感覚)、青山純くらい・・・って言うのは言過ぎか・・。今井美樹の 「Ivory」 にある「地上に降りるまでの夜 」でそれを感じられると思います。

Ivory DVDでは、同じく今井美樹の 「One Night at the Chapel~Special Collection~」 で、プレィが見られます。静かな曲中心ですが、さすが!という感じです。今剛のギターもイイ感じです。このDVDの演奏は、ライブというオープンな感じというよりは、そのままレコーディングスタジオでの演奏のようですね。


まぁ、この青山純という人、聴けば聴くほど深い世界を持っておられるのが分かります。ハイハットワークひとつをとっても・・・。

私も20代前半の頃までは手数が多くてギミックプレイがキレてるドラマーに興味がありましたが、ずっと好きでいられる不変のMy favoriteは、青山純のようなドラマーなのだなぁ。

Keith Carlock2007年07月24日

Morph the Cat 今、一番注目している若手ドラマーです。Keith Carlock(キース・カーロック)。Donald Fagenの 「Morph the Cat」 を聴いた瞬間に「このドラマーは誰だ!」と叫びそうになった久々の一目惚れならぬ「一聴惚れ」なグルーヴがたまらんドラマーです。

STEELY DAN のアルバムも良いドラマーを揃えておりますな。Donald FagenなのかWalter Becker なのかドラマーのこだわりを感じます。 Gaucho さすがです。Bernard Purdie の「パーディーシャッフル」が聴ける 「Gaucho」 の一曲目「Babylon Sisters」はあまりに有名ですよね。
で、キース君が、そのSTEELY DAN の「2007 HEAVY ROLLERS TOUR」でお目にかかれるようです。8月に日本に来ますが、チケットgetできず。残念。もうSTEELY DAN も日本では見られないだろうし・・・。 え~い。9月のMETHENY MEHLDAUで我慢するかって・・路線が違うし、無理があるなぁ?

Ha! その他のキース君ネタでは、OZ NOYの 「Ha!」で、非常にご機嫌なプレイが聴けます。6曲目の「Hey You」のノリもかなり良い。9曲目の「Hit Me」で本領発揮といったところか・・・。この人は、スネアの扱いが繊細なところが大変良いです。

Jeff Porcaro2007年07月28日

Jeff Porcaro(ジェフ ポーカロ)。38歳で逝ってしまったのは惜しい。 私のドラミングのベースはこの人の影響が大きいと思うんですが、じゃぁ、どの辺が影響されたかというと、ドロ臭いところ・・・とでも言いますか。

宇宙の騎士 高校時代(80年代初頭)からドラムを始めましたが、当時目に付くドラマーと言ったら、Steve Gadd やら Harvey Mason やら、日本では神保彰 などで、Steve Gadd が確立したルーディメントを応用し前面に出したドラミングが流行った時期でした。 もちろん Jeff Porcaro とはジャンルが違うので、ドラミングも違うのは当然ですが、そんな中、TOTOを聴いて、 Jeff Porcaro に触れて、まさに最初の印象は「ドロ臭い」ドラムだなぁ。でした。

だけど、何か引っかかる、気になるドラマーだったのです。 TOTOのデビューアルバム 「宇宙の騎士」 にある「Georgy Porgy」「Girl Goodbye」、今聴いてもカッコイイですし、「Hold the Line」は、「これがJeff Porcaroの音!」っていう象徴的な録音かなぁ・・。ドロ臭い感じがイイです。ストレートに聴ける。 TOTO IV~聖なる剣 曲に合ったドラム。出っ張り過ぎないドラムとでもいいますか・・・。チューニングもそういった感覚にさせる、カラっとした音ですよね。PAISTEを使っていたのもそういった趣向だったからなのか?

「TOTO IV~聖なる剣」 の「Rosanna」で叩いたハーフタイムシャッフルは有名ですね。彼があるドラム雑誌のインタビューで、影響を受けたドラマーにBernard Purdie を挙げていますが、頷けます。

The Baked potato Super Live! そして、CDで再発売されていたのですね。 「The Baked potato Super Live!」
81年の録音ですから、27歳でのプレィだそうです。考えてみると我々が耳にしている彼のプレィは若い年齢のものなんですが、彼のドラミングは既に完成されている感があります。
このアルバムはインストゥルメンタルで、Losの小さなライブハウス「The Baked Potato」でのライブ録音。KeyにGreg Mathieson( グレッグ マティソン)、BassにRobert 'Pops' Popwell、そして、GuitarがSteve Lukather。後にJeffもSteveも。演奏が雑でひどい!と言っているようですが、いやいや、確かにそのような部分もあるけど、このパワーは凄いです。一切オーバーダブしていないそうです。
で、ここで改めてJeff Porcaroの凄いグルーブを感じられます。下半身の据わったグルーブとでも言いますか・・・。Fillとかは、にわかにドロ臭いんだけど、知らず知らずのうちに、私が彼に惹かれていった理由は、こういうことだったんだなぁ。と再認識させられました。

当時はLPで購入していたんですが、再発CDはジャケットのデザインが違いますねぇ。

思慕(ワン・ウェイ・ハート) あと触れておきたいのは、キックですね。非常にパワーがあります。「The Baked potato Super Live!」でも、5曲目の I Don't Know での後半、ベースとのからみがありますが、ツインペダルばりの連打が聴けますし、Michael McDonald の 「思慕(ワン・ウェイ・ハート)」 にある「I Keep Forgettin' 」のフェードアウトしかかった時の32分音符のダブルキック。他の録音やライブでも随所に聴けますね。印象的です。邪魔になるときもあるけど・・。

これだけ若くして、無数のレコーディングやらセッションに参加してきたドラマーは、きっとJeff Porcaroだけではなかろうか・・と思います。合掌。
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